2025年11月29日(土)、第9回高砂集会「救済されないカネミ油症の被害がここにある―PCBが製造された高砂から問う」を、現地会場(高砂)と、東京・長崎・五島の各会場をオンライン(Zoom)で結んで開催し、以下の集会声明を採択しました。
カネミ油症の原因物質であるPCBは、株式会社カネカの高砂工業所で製造されました。1968年の事件発生以来、多くの人びとの人生を狂わせ、いまでも痛みや苦しみ、悩みや不安を与え続けている原因が、ここ高砂にあります。
今年も、油症被害の起点である高砂の地に、被害者、支援者、そして問題の解決を願う人びとが、オンライン参加も含め、全国から集まりました。本日の集会で被害者が訴えたように、未認定問題、脆弱な補償体制、そして次世代の健康被害などの課題は、事件から半世紀以上経った今でも解決されていません。被害者が歳を重ね、亡くなる方も増えていくなかで、救済の遅れは取り返しのつかない犠牲をもたらしています。その一方で、被害者の間には、これからどうすればよいのかという閉塞感が漂っています。
だから、私たちはカネカ、カネミ倉庫、国、政治家、メディア、そして参加者の皆さんに向けて、呼びかけます。
まず、カネカの皆さんへ。カネカは、1987年の和解を理由に、その後は被害者との対話を拒絶してきました。たしかに、法的には免責されています。しかし、PCB「カネクロール」を製造したグローバル化学企業として、いまも続くカネミ油症の被害に対して、社会的な責任を果たすべきではないでしょうか。被害者が何よりも望んでいることは、原因物質の製造者との対話です。その呼びかけに応えてください。
つぎに、加害企業であるカネミ倉庫の皆さんへ。被害者のいのちと生活を支える責任を担う企業として、三者協議などの場で被害者の声に耳を傾け、補償の確保と救済の前進に真摯に取り組んでください。
厚生労働省や農林水産省の皆さんへ。現行の診断基準に問題があること、特に次世代には当てはまらないことは明らかです。早急に診断基準の見直しを進めてください。また、現在、被害者は加害企業であるカネミ倉庫の経営状態を心配しています。三者協議などでのやりとりを通じて、「国は私たちを見捨てるのではないか」という疑念を抱いている被害者もいます。国の責務として補償と支援を確実に実行し、被害者の不安に対して目に見えるかたちで応えてください。
国や被害地域の政治家の皆さんへ。2012年にカネミ油症被害者救済法が成立しましたが、被害者の救済は進んでいません。今日のカネミ油症問題をよく理解し、国、自治体、事業者が、それぞれ責務を果たしているかをチェックし、制度の見直しや改善に向けて動き出してください。
メディア関係の皆さんへ。カネミ油症は、過去の終わった事件ではありません。いまも続く食品公害であり、重大な社会問題です。カネミ油症問題の現状や課題を継続的に取材・報道し、社会の関心を高めてください。
最後に、本集会に参加した皆さんへ。今日ここで共有した事実を、それぞれの地域や職場、生活の場に持ち帰り、SNSで発信したり周囲へ知らせたりして、行動の輪を広げてください。
カネミ油症の被害者の人生は奪われ続けています。救済の遅れは、すでに我慢できる限界を超えています。ぜひそれぞれの立場から、呼びかけに応えてください。
私たちは、この呼びかけから、被害者の全面的な救済と公害を繰り返さない社会をつくる対話が始まると信じ、これからも、ここ高砂から発信を続けます。
2025年11月29日
救済されないカネミ油症の被害がここにある―PCBが製造された高砂から問う
高砂集会参加者一同
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Last Updated: 2025-12-04 by ysc
第9回高砂集会声明
2025年11月29日(土)、第9回高砂集会「救済されないカネミ油症の被害がここにある―PCBが製造された高砂から問う」を、現地会場(高砂)と、東京・長崎・五島の各会場をオンライン(Zoom)で結んで開催し、以下の集会声明を採択しました。
カネミ油症の原因物質であるPCBは、株式会社カネカの高砂工業所で製造されました。1968年の事件発生以来、多くの人びとの人生を狂わせ、いまでも痛みや苦しみ、悩みや不安を与え続けている原因が、ここ高砂にあります。
今年も、油症被害の起点である高砂の地に、被害者、支援者、そして問題の解決を願う人びとが、オンライン参加も含め、全国から集まりました。本日の集会で被害者が訴えたように、未認定問題、脆弱な補償体制、そして次世代の健康被害などの課題は、事件から半世紀以上経った今でも解決されていません。被害者が歳を重ね、亡くなる方も増えていくなかで、救済の遅れは取り返しのつかない犠牲をもたらしています。その一方で、被害者の間には、これからどうすればよいのかという閉塞感が漂っています。
だから、私たちはカネカ、カネミ倉庫、国、政治家、メディア、そして参加者の皆さんに向けて、呼びかけます。
まず、カネカの皆さんへ。カネカは、1987年の和解を理由に、その後は被害者との対話を拒絶してきました。たしかに、法的には免責されています。しかし、PCB「カネクロール」を製造したグローバル化学企業として、いまも続くカネミ油症の被害に対して、社会的な責任を果たすべきではないでしょうか。被害者が何よりも望んでいることは、原因物質の製造者との対話です。その呼びかけに応えてください。
つぎに、加害企業であるカネミ倉庫の皆さんへ。被害者のいのちと生活を支える責任を担う企業として、三者協議などの場で被害者の声に耳を傾け、補償の確保と救済の前進に真摯に取り組んでください。
厚生労働省や農林水産省の皆さんへ。現行の診断基準に問題があること、特に次世代には当てはまらないことは明らかです。早急に診断基準の見直しを進めてください。また、現在、被害者は加害企業であるカネミ倉庫の経営状態を心配しています。三者協議などでのやりとりを通じて、「国は私たちを見捨てるのではないか」という疑念を抱いている被害者もいます。国の責務として補償と支援を確実に実行し、被害者の不安に対して目に見えるかたちで応えてください。
国や被害地域の政治家の皆さんへ。2012年にカネミ油症被害者救済法が成立しましたが、被害者の救済は進んでいません。今日のカネミ油症問題をよく理解し、国、自治体、事業者が、それぞれ責務を果たしているかをチェックし、制度の見直しや改善に向けて動き出してください。
メディア関係の皆さんへ。カネミ油症は、過去の終わった事件ではありません。いまも続く食品公害であり、重大な社会問題です。カネミ油症問題の現状や課題を継続的に取材・報道し、社会の関心を高めてください。
最後に、本集会に参加した皆さんへ。今日ここで共有した事実を、それぞれの地域や職場、生活の場に持ち帰り、SNSで発信したり周囲へ知らせたりして、行動の輪を広げてください。
カネミ油症の被害者の人生は奪われ続けています。救済の遅れは、すでに我慢できる限界を超えています。ぜひそれぞれの立場から、呼びかけに応えてください。
私たちは、この呼びかけから、被害者の全面的な救済と公害を繰り返さない社会をつくる対話が始まると信じ、これからも、ここ高砂から発信を続けます。
2025年11月29日
救済されないカネミ油症の被害がここにある―PCBが製造された高砂から問う
高砂集会参加者一同
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