1968年(昭和43年)、カネミ倉庫社製の米ぬか油に混入していたPCB・ダイオキシン類を摂取した方々が甚大な食中毒被害に遭われました。自覚症状があって申請を求めても被害者として認定されないケースが多く、また、直接的には油を食べていない子や孫(2世・3世)にも被害が及んでいると考えられていますが、基本的な追跡調査さえ実施されていません。 事件発生から50年以上の歳月が流れましたが、カネミ油症はいまだに終わっていないのです。
「エポック10フェスタ2023~知ろう!あなたとわたしの可能性」
昨年6月12日のエポック10フェスタ2022では「化学物質は世代を超える―カネミ油症次世代調査から考える」を開催し、基調講演として水野玲子さん(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)から「化学物質は世代を超える:過去の事例から学び、未来に活かす」と題してお話いただきました。
私たちの生活は様々な人口化学物質に囲まれた暮らしです。水野玲子さんによれば、世界で工業的に生産されている化学物質は10万種類以上もあり、実際、環境省が平成23~25年に行ったモニタリング調査によっても私たちの血液や尿からダイオキシン類、PCB、重金属やビスフェノールAなど様々な化学物質が検出されています。まさに複合汚染の現実です。
化学物質中毒の事件として、水俣病やベトナム戦争の枯れ葉剤、イタリアセベソの農薬工場爆発事故などがありますが、私たちの企画では、カネミ油症事件を中心に考えていきます。
カネミ油症事件は、1968年に加害企業であるカネミ倉庫(株)が食用ライスオイル(米ぬか油)を製造する過程で、(株)カネカが製造したPCBを熱媒体として使用し、何らかの原因でPCBが混入した米ぬか油を一般消費者として購入して食べた人々が被害をうけた食品中毒(公害)事件です。
カネミ油症の被害者は、54年経った今も様々な症状や疾病に苦しんでいます。しかも、被害は食べた本人だけでなく、次世代(子や孫)にも及んでいることが明らかとなっています。
本年6月、2021年に行われたカネミ油症次世代アンケート調査(調査回答者388名)の結果が公表される予定です。化学物質中毒で初めて行われた国の調査です。調査の結果公表から、被害者救済に向けて新たな活動が始まります。
どの様な活動・運動が必要であるのか皆様と一緒に考えます。
日時:2023年6月10日(土)13:30~16:00
場所:としま産業振興プラザ(IKE・Biz)3階研修室2+オンライン(Zoom)
内容:
参加費:無料 ※保育・手話あり(6/1までに要予約)
定員:会場26名、オンライン50名(事前登録が必要です)
お申込み:
企画:カネミ油症関東連絡会、カネミ油症被害者支援センター(YSC)
主催:エポック10フェスタ2022実行委員会
会員のみなさんには、年4回、会報『YSCニュース』をお届けしています。
この機会にぜひ、ご入会ください。
日本の2大食中毒公害事件(森永砒素ミルク中毒・カネミ油症)を考える写真展と講演の集いが、5-6月に2回開催されます。
すでに第1回は終わっていますが、6月に第2回が開かれる予定です。
映画監督・稲塚秀孝さんが、油症の被害者や関係者を追った記録映画を制作されています。
2024年秋頃公開の予定で、映画のタイトルは「カネミ油症の記憶と記録」(仮題)。
2023年4月15日(土)15:00~16:30、みらい館大明108会議室(東京都豊島区池袋3-30-8)にて第17回総会を開催し、下記の5つの議案が承認されました。
今回はおよそ3年ぶりに総会を開催したので、活動報告は3年分、会計報告は2年分(1年分はYSCニュースで報告済み)となりました。
総会で承認された2023年度活動方針は以下のとおりです。
2022年2月8日に全国油症治療研究班(辻班長)は、2021年8月~11月に実施した次世代被害者アンケート調査の「中間報告」を公表しました。それによると次世代が多様な症状で苦しんでいることが判明しました。国が責任もって次世代調査を実施したのは初めてのことです。この調査の引き金になったのはYSCが2020年に49名を対象として実施した「次世代アンケート調査」であることは明らかです。
全国治療研究班と厚労省は、2023年6月に「最終報告」を行い、救済に向けて動き始めます。その意味で2023年は極めて重要な年になります。YSCは次世代被害者の救済に向けて、全力で取り組みます。
またこの機会を契機に次世代以外の未認定被害者の救済にも引き続き取り組みます。
2012年に救済法は成立しましたが、認定被害者の救済内容は不十分なままです。年額24万円の給付金引き上げや三者協議に基づく「医療費救済に係る協定書づくり」も進んでいません。2012年11月30日に告示された厚労省・農水省共同の「カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針」は、「医療費については、将来にわたってカネミ倉庫株式会社から安定的に医療費を支払われる必要がある」と明記しています。国とカネミ倉庫による給付金増額と、カネミ倉庫が医療費を安定的に支払うために「基本的な指針」の真摯な実行を迫っていく取り組みが必要です。
これまで6回にわたり兵庫県高砂市で、YSCはカネミ全国被害者連絡会と高砂市民の会の三者での集会に加えて、カネカ対策のためにどんな行動をとることが有効かを含めて考え取り組んでいきます。
YSCは発足以来、被害者とともに仮払金免除特例法や救済法と二つの法律を成立させるといった成果を勝ち取ってきました。しかし未認定被害者の救済や認定被害者の救済内容充実の面で、まだまだ解決への道は半ばです。このことは国民各界各層への油症事件への理解がいまだ不十分であることの反映です。
会報やホームページの情報発信に加えて、様々なツールを活用し、さらにカネミ油症事件の啓発活動に取り組んでいきます。
各地区の被害者と協力し、可能な範囲で地域交流集会を追求し、自治体交渉にも取り組みます。
YSC独自あるいは全国被害者連絡会との共同での省庁交渉に取り組みます。また党派を超えた国会議員への働きかけを行い、省庁交渉の強化や法制度の改正などの救済が進むような取り組みを被害者とともに取り組みます。
YSCの活動分野は多岐にわたっており、取り組む課題を少なくありません。求められている期待も大きく、それに応えるためにも新しい仲間の参加が求められます。メンバーの拡充と財政基盤の強化に引き続き取り組みます。