1968年(昭和43年)、カネミ倉庫社製の米ぬか油に混入していたPCB・ダイオキシン類を摂取した方々が甚大な食中毒被害に遭われました。自覚症状があって申請を求めても被害者として認定されないケースが多く、また、直接的には油を食べていない子や孫(2世・3世)にも被害が及んでいると考えられていますが、基本的な追跡調査さえ実施されていません。 事件発生から50年以上の歳月が流れましたが、カネミ油症はいまだに終わっていないのです。
2024年6月21日、福岡市内で油症対策委員会が開かれ、全国油症治療研究班(事務局:九州大学)は、2021年度から進めている認定患者の子や孫らを対象とした次世代健康調査の分析結果を報告しました。
先天性異常として「歯牙欠損」が目立つ傾向があること、卵巣予備能が健常な女性と比べて低い傾向が見られることなどが分かりました。また、中原剛士班長は、次世代はダイオキシン類の血中濃度が高くない傾向が認められ、親世代と同じ基準を当てはめられないことも分かりつつあると述べました。
翌6月22日には、カネミ油症の被害者団体と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)による三者者協議が福岡市内で開かれました。次世代被害者の救済に向けた議論が「遅々として進んでいない」という被害者団体から意見が相次ぎましたが、これまでブラックボックスと言われてきた患者認定を判断する研究者らと被害者が直接話す場が設けられる見通しとなりました。
両日の様子については、複数のメディアで取り上げられました。
油症対策委員会(2024.06.21)
三者協議(2024.06.22)
日時:2004年3月2日(土)13:00-16:00
場所:複合型交流拠点 ウィズあかし7階&オンライン
主催:コープ自然派兵庫
共催:カネミ油症被害者全国連絡会、カネミ油症被害者支援センター(YSC)、カネミ油症被害者とともに行動する高砂市民の会(通称 ともに市民の会)
6/14(金)と6/21(金)に、日本記録映画作家協会の研究会で、カネミ油症に関連した映画がまとめて上映されます。
カネミ油症・映画 連続上映
会場:「かふぇ&ほーるwith遊」(東京都杉並区荻窪3-46-13)
*荻窪駅南口阿佐ヶ谷方面徒歩8分
*定員36名・予約制
参加費:1,000円(会員は500円)
(1)2024年6月14日(金)18時より上映。
『遺民』(1974年、49分)
『生木が立枯れていくごたる』(1976年、88分、岡田道仁監督)
(2)6月21日(金)19時より上映。
『食卓の肖像』(2010年、103分、金子サトシ監督)
予約先:金子サトシ(n3946062◎yacht.ocn.ne.jp)
※◎を@に変えて、メールでお申込みください。
『YSC ニュース』79号を発行しました。
また、会員のみなさんには、あわせて、『家族の食卓―カネミ油症事件聞き取り記録集』[改訂版]』を送付しました。
年4回、会報『YSCニュース』をお届けしています。この機会にぜひ、ご入会ください。
2006年に制作された冊子『家族の食卓――カネミ油症事件聞き取り記録集』[改訂版]が、このたび刷り上がりました。
オンラインストアで購入できますので、ぜひこの機会にお読みになってください。
なぜ、この冊子の再出版を考えたのか?先日発行した『YSCニュース』78号の編集後記に書いた文章を転載します。
私はYSCの運営委員になってまだ4年ですが、カネミ油症事件の被害に遭われた方々を支援していくためには、もっと社会的な関心を広げる必要があると感じています。1968年の事件発生は、多くの人びとに食の安全性を考えるきっかけを与え、翌年に『食べもの通信』(家庭栄養研究会)が創刊されるなど、当時は社会的な運動が広く展開されました。現在、国はカネミ油症被害者の次世代への影響を調査しており、これは世代を超える化学物質被害をとらえるために重要な調査だと思いますが、残念ながらほとんど知られていません。
こうした現状に対して、まずは被害の実態を周知できればと、石澤春美さんと水野玲子さんが2006年にまとめられた冊子『家族の食卓―カネミ油症被害者聞き取り記録』を改訂し、出版するための作業をすすめています。この冊子は、カネミ油症被害者27家族分の証言を聞いて記録したもので、被害のむごさを生々しく伝えています。これまで一般には入手することが難しい状態でしたが、もうすぐ編集作業を終えて印刷できる予定で、YSCニュースをお届けしている皆さまには寄贈いたします。
『YSCニュース』78号編集後記
こうした取り組みが、停滞する状況を好転させることにつながればと願っています。
(松村正治)