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第3回高砂集会報告

「PCB処理・カネミ油症被害者救済に向けて~わたしたちがのぞむこと・できること」第3回高砂集会報告

2019年10月27日午後1時30分から兵庫県高砂市の「ユーアイ帆っとセンター」1階交流スペースにて、第3回高砂集会を行いました。
前年に続き、カネミ油症被害者全国連絡会、カネミ油症被害者と共に行動する高砂市民の会(ともに市民の会)、カネミ油症被害者支援センター(YSC)の三者共催となり、参加者は70名、被害者は10団体13名が参加しました。初めて参加する被害者や被害者団体もありました。
残念ながら、今回の集会も、PCB製造企業である(株)カネカの参加は実現しませんでした。

カネミ油症関東連絡会の鈴木文史朗さんが司会を務め、開会挨拶ではYSC共同代表の大久保貞利が高砂で集会を行う意義と、現地「ともに市民の会」への謝辞を伝えました。基調報告では「ともに市民の会」の山本清子さんが高砂でのPCB処理の現状と課題を詳しく説明してくれました。
記念講演では、元厚生労働大臣の坂ロ力氏が「カネミ油症被害者救済に向けて」と題して、約30分にわたりお話されました。坂口氏は厚生労働大臣として「カネミ油症の主原因はダイオキシンである」と国会で発言し、2013年の救済法成立の際には超党派議連の中心メンバーとして尽力され、昨年11月17日五島市でのカネミ油症事件発生50年記念行事では今後の救済に向けて発言されました。

今回の記念講演では、カネミ油症事件発覚の前に発生したダーク油事件に際しての対応を含めて
国の初期対応に問題があったことは否定できないこと、カネミ油症は食品衛生法の対象であるが治療法の無い食中毒に対して国民のための行政が行われたとは言い難いこと、と論点を整理した上で、今後の課題として、現在の被害者の症状を整理して資料を提出する必要がある、患者会も現在の責任を整理してほしい、と締めくくりました。参加者のアンケートでは、「課題や問題点が明らかになりました」「初期対応のまずさ、国や研究班、企業の責任をきちんととって欲しい」など、坂口氏のお話に多くの共感が寄せられました。
休憩後には、油症被害者がご自身やご家族の深刻な油症被害についてお話ししました。初めて高砂集会に参加したカネミ油症被害者五島市の会の旭梶山英臣さん、油症医療恒久救済対策協議会の馬田隆文さん、長崎本土地区油症被害者の会の下田順子さんを含めて、司会の鈴木さんと匿名希望の方を除き、参加被害者13名のうち11名がそれぞれの想いを伝えました。参加者のアンケートでは、「被害がまだまだ続いている事を知り、かつこれを知らなかった事にとてもショックを受けました」「被害者の生の声が心に痛かったです」「諦めずにカネカも入って話し合いが出来るように心から願います」など、多くのご感想をいただきました。
被害者のお話の後に、「ともに市民の会」の宮寄やゆみさんが集会声明案を読み上げ、司会の鈴木さんが参加者に諮り、拍手で採択されました。集会声明は次のページに掲載したのでご覧ください。最後に、閉会挨拶として、「ともに市民の会」の宮先一勝さんに力強く語っていただき、午後4時過ぎに終了しました。

午前のバス見学は定員25名が満席となり、被害者3名が自家用車で見学ルトを同行しました。高砂西港にあるPCB盛立地を見学し、カネカ正門前では、ギターの伴奏で歌を歌いながら、被害者を中心に「カネミ油症は終わっていない」「被害者と共に未来を拓こう!」というパネルを掲げるパフォーマンスを行い、長崎本土地区油症被害者の会の下田順子さんがカネカヘの要請文を読み上げ、受付の担当者に手渡そうとしましたが、拒否されました。その後、カネカ高砂工業所全景を周囲から眺望しました。


集会声明

カネミ油症が1968年に発覚してから半世紀が過ぎました。
油症の原因物質であるPCBが製造されたここ高砂の地に、油症被害者、高砂市民、支援者、全国からの参加者が集まるのは、今年で3回目になります。
回を重ねるごとに内容も充実し、被害者と高砂市民との交流が進みました。
一方で、PCBの製造企業である株式会社カネカとの対話は、まだ実現していません。
PCB廃棄物の処理には期限が定められ、その処理費用は製造業者ではなく、保管事業者、国、自治体が負担し、多額の税金が使われています。
それに比べて、油症被害者の体内に入り込んでしまったPCBに対する国の対策は、あまりにも貧弱です。
油症事件が発生した初期段階での国の対応のまずさが、油症被害を拡大し、
重症化させたことを考えると、納得できるものではありません。
本日、多くの被害者のお話を聞き、油症の深刻な被害と苦しみが未だに続いており、その被害は次世代にまで広がっていることを知りました。
昨年に続いて、カネカにこの集会へ参加していただくように要請しましたが、残念ながら今年も実現しませんでした。
カガクでネガイをカナエルためには、現実を直視することが必要です。
油症被害の実態を知り、安心安全な社会を次世代に引き継ぐために何をすべきであったか、これから何をすべきかを一緒に考えてもらいたいと願い、私たちは引き続きカネカとの対話を求めてゆきます。
PCB汚染を共に経験した油症被害者と高砂市民は、油症被害の全面救済とPCBの安全な処理を求めて、今後もこの高砂の地から発信してゆきます。

2019年10月27日
「PCB処理・カネミ油症被害者救済に向けて~わたしたちがのぞむこと・できること」高砂集会参加者一同

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