1968年(昭和43年)、カネミ倉庫社製の米ぬか油に混入していたPCB・ダイオキシン類を摂取した方々が甚大な食中毒被害に遭われました。自覚症状があって申請を求めても被害者として認定されないケースが多く、また、直接的には油を食べていない子や孫(2世・3世)にも被害が及んでいると考えられていますが、基本的な追跡調査さえ実施されていません。 事件発生から50年以上の歳月が流れましたが、カネミ油症はいまだに終わっていないのです。
私たちはこれまで4回にわたり「化学物質は世代を超える」と題したイベントを開催し、人工化学物質が私たちの生活に及ぼす影響を考えてきました。
カネミ油症事件は、1968年に加害企業であるカネミ倉庫(株)が食用ライスオイル(米ぬか油)を製造する過程で、(株)カネカが製造したPCBを熱媒体として使用し、何らかの原因でPCBが混入した米ぬか油を一般消費者として購入して食べた人々が被害をうけた食品中毒(公害)事件です。
カネミ油症の被害者は57年経った今も様々な症状や疾病に苦しんでいます。しかも、被害は食べた本人だけでなく、次世代(子や孫)にも及んでいることが明らかとなっています。
こうした現状に対して、油症被害を全く知らない方にも被害の実態を周知できればと、「15分でわかるカネミ油症問題のいま」と題した冊子を作成しました。今回のイベントでこの冊子を初めて公開し、多くの方に広めていきたいと考えています。
昨年10月5日にエポック10で行われた「カネミ油症聞き取り記録集『家族の食卓』改訂出版 被害者の証言を聴き 今できることを考える」では、『家族の食卓』改訂版を朗読して大きな反響があり、その後の全国集会でも朗読を行い、各地でも朗読会が行われるなどの広がりがありました。
今回公開する冊子は、初めて手に取る方、より多くの方に手にとっていただくために、ということを前面に考えたデザインと内容になっています。テレビ番組のドキュメンタリー等を見て気になった方に、学校の授業等で活用していただくことなどを考えています。
油症被害の実態と救済への課題をお伝えし、共有した上で、この貴重な冊子をどのように活用していくか、参加したみなさんからご感想やご意見、アイデアをいただき、次のアクションにつなげていきたいと考えています。
ぜひご参加ください!
日時:2025年6月15日(日)13:30~16:00
場所:豊島区男女平等推進センター研修室2+オンライン(Zoom)
内容:
参加費:無料 ※保育・手話あり
定員:会場24名、オンライン50名(先着順、事前登録が必要です)
お申込み:
企画:カネミ油症被害者支援センター(YSC)
後援:カネミ油症被害者関東連絡会、豊島・健康と環境を守る連絡会
共催:豊島区男女平等推進センター(エポック10)
令和6年度にカネミ油症一斉検診を受診した未認定者について、油症患者診定専門委員会による診定結果の報告を受け、長崎県では61人のうち五島市の70代男性と80代女性、長崎市の60代女性の3人が、福岡県では48人のうち北九州市の80代女性1人が認定されました。
また、長崎県では同居家族認定患者との同居が確認できれば患者と認める「同居家族」として、五島市の70代女性1人も認定されました。
2025年3月15日(土)、カネミ油症の被害者団体「長崎本土地区油症被害者の会」が、救済認定の実態や課題について考える集会を長崎市内で初めて開催しました。
代表の下田順子さんは、差別や偏見に苦しむ被害者のためにもカネミ油症への理解を深めてもらいたいと、このような集会を夏と秋にも開く予定とのことです。
この集会については、複数のメディアで報道されました。
3/15(土)13:00~「カネミ油症を考える長崎の集い」が長崎新聞社(長崎市茂里町)で開催されます。
この集いでは、事件の概要説明、聞き取り記録集『家族の食卓』の朗読、被害証言、質疑応答などが予定されています。(主催:長崎本土地区油症被害者の会、後援:長崎新聞社)
なお、『家族の食卓』(カネミ油症被害者支援センター編)は、オンラインショップ「野兎舎」でご購入いただけます。
兵庫県高砂市にある高砂西港の前には、高さ約5m広さ約5haのPCBに汚染土砂を盛ってできた「高砂西港盛立地」があります。現在、この「PCBの山」の周辺は兵庫県立高砂みなとの丘公園として整備されていますが、ここにPCBが埋められた歴史を示すものは何もありません。
カネミ油症被害者たちは、この盛立地は何でできているのか、なぜ作られたのか示し、化学物質による被害に対して注意を促す碑を設置するように、兵庫県に提言しました。
詳細については、以下の記事を参照してください。